■2004年12月定例議会 議案請願審査 結果(12月8日~12月22日) 市長提出議案はすべて可決されました。そえのは、全議案に賛成しました。「さいたま市墓地等の経営の許可等に関する条例」は、「さいたま市墓地、埋葬等に関する法律施行条例」を全部改正した新設の条例で、許可にあたっての手続きや基準(事前協議、説明会の開催、審査会設置、経営許可の申請、施設基準、勧告・公表等)を定めたもので、全国的にも類のない、先進的な内容です。 ▼議案 第153号平成16年度さいたま市一般会計補正予算 第154号平成16年度さいたま市国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号) 第155号平成16年度さいたま市老人保健事業特別会計補正予算(第2号) 第156号平成16年度さいたま市下水道事業特別会計補正予算(第1号) 第157号平成16年度さいたま市水道事業会計補正予算(第2号) 第158号さいたま市個人情報保護条例の一部を改正する条例の制定について 第159号さいたま市証紙条例を廃止する条例の制定について 第160号さいたま市図書館条例の一部を改正する条例の制定について 第161号さいたま市保育所条例の一部を改正する条例の制定について 第162号さいたま市放課後児童クラブ条例の一部を改正する条例の制定について 第163号さいたま市墓地等の経営の許可等に関する条例の制定について 第164号さいたま市コミュニティ施設条例の一部を改正する条例の制定について 第165号さいたま市しらさぎ荘条例の一部を改正する条例の制定について 第166号さいたま市屋外広告物条例の一部を改正する条例の制定について 第167号さいたま市都市公園条例の一部を改正する条例の制定について 第168号さいたま市みどりの条例の一部を改正する条例の制定について 第169号さいたま都市計画事業指扇土地区画整理事業施行規程の制定について 第170号さいたま市下水道事業の設置等に関する条例の制定について 第171号保健衛生会館(仮称)建設(建築)工事請負契約について 第172号保健衛生会館(仮称)建設(電気設備)工事請負契約について 第173号保健衛生会館(仮称)建設(給排水衛生設備)工事請負契約について 第174号保健衛生会館(仮称)建設(空気調和換気設備)工事請負契約について 第175号財産の取得について(合併記念見沼公園用地) 第176号町の区域を新たに画することについて 第177号当せん金付証票の発売について 第178号県道の路線の廃止に関する意見について 第179号市道路線の認定について 第180号市道路線の廃止について 第181号専決処分の報告及び承認を求めることについて(平成16年度さいたま市一般会計補正予算(第6号)) ▼追加議案(閉会日に提出) 第182号人権擁護委員候補者の推薦について 第183号人権擁護委員候補者の推薦について 第184号人権擁護委員候補者の推薦について 第185号人権擁護委員候補者の推薦について ▼請願 3件とも不採択でした。そえのは、請願3件について採択に賛成しました。 第25号国保税を、生活保護基準以下の所得の世帯に対し、減額する措置を実施する件 第28号教育基本法「改正」ではなく、教育基本法に基づく施策を進めることを求める意見書を政府等に提出することを求める件 第31号イラクからの自衛隊撤退を求め、派兵計画の延長に反対する意見書の提出を求める請願 ■2004年12月定例議会 保健福祉常任委員会 議案外質問(12月16日) 児童虐待防止について、質問しました。児童福祉司の配置について交付税基準に合わせるようにすることや、本庁に専門の組織をおくことや、虐待防止マニュアルを作成中であること、4ヵ月健診の未受診者への訪問の開始予定など、前向きな答弁がいただけたと思います。子どもの命、人権、そして未来がかかっていることですので、ちゃんと力を入れて取り組んでもらわなければなりませんし、対応できる人材が職員として配置されているかどうかが、ポイントだと思います。担当部局の認識だけで片付けられないことを念頭にいれつつ、質問しました。 1.児童虐待防止 (1)要保護児童対策 (2)保健師の増員 (3)児童福祉司の配置 質問(そえの) 児童虐待防止法の改正がおこなわれ、10月から施行されております。その本法である児童福祉法の改正も、国会で成立し、来年から順次施行されるとのことです。また、過日の新聞で、相川市長へのインタビュー記事で、さいたま市の児童福祉司の配置が地方交付税基準(6.8万人に1人)より下回っているけれども、来年度予算で充足させたいということと、虐待相談の24時間365日対応のシステム化も検討する、ということで出ておりました。これらを受けて質問させていただきたいのですが、1項目目が要保護児童対策ということで、いくつかお聞きします。現在、区ごとに児童虐待防止ネットワークができておりますが、この運用状況について?また、市のネットワークは、各区のネットワークとどのように連携をもっているのか?現在の課題については何があがっているのか?来年から法定化される「要保護児童対策地域協議会」は、このネットワークが移行されると思いますが、この協議会で設置が義務付けられている運営の中核機関は、どの部署が?誰が担う予定となっているのか?家庭児童相談室の相談体制、相談受付時間、児童福祉司などの専門職の配置、職員の常勤化などの現況はどうなのか?充実対応策は現時点においてどのように考えていらっしゃるのか?うかがいたいと思います。 2項目目の、保健師の増員についてですが、改正児童虐待防止法では、虐待を受けたと思われるケースとか、それからDVの目撃も通告対象になってきましたので、必然的に対応件数は増えてくると思います。3歳未満児への虐待も、この5年間で4.3倍にも増えているということ、虐待者の半数以上、6割が実母という調査結果も出ておりまして、やっぱり、虐待対応時の緊急時のアセスとか、初期調査に精通した人材の配置が、厚労省の局長通知で出ていると思いますけれども、本市の母子保健計画の3つの重点プログラムでも虐待防止が掲げられておりまして、保健師さんの役割というのは、大変重要だと思います。この保健師さんたちへの研修はどのように行われているのか?育児支援訪問事業、現在の名前では妊産婦・新生児訪問指導とか、乳幼児家庭訪問指導などありますけれども、その現況と、虐待のリスクが大きい健診の未受診者への対応についてはどうなのか?保健師の配置状況と、増員の考えがいまのところあるのかどうか?についてうかがいます。(厚労省は保健師の増員を予算要求している) 3項目目の児童福祉司の配置についてですが、埼玉県のほうでは、児童福祉司一人が受け持つ人口は58,554人、本市は現在85,338人という記事がありました。市長の発言にも大変期待がもてるわけですけれども、ただ、3人足らないから3人増やす、そういうことだけでは対応しきれるものではないと思うんです。今般の児童福祉法、児童虐待防止法の改正の趣旨は、切れ目のない支援という、トータルな対応を求めているものですし、また、自治体の責務というのも、かなり厳密に規定されているわけですね。県では、虐待通告の48時間以内に、子どもの安全確認を行っていて、本市でもそう対応しているということで、見学したときにそういうことでお聞きしているのですが、この48時間以内の対応というのは、運用面で明記されているのかどうかお聞かせください。それから、虐待防止対策に当たる専門職員について、法改正をどのようにとらえているのか?(任用資格条件、数をふやせばいいという問題ではない。人材の確保と資質の向上、専門性の担保。)それから、児童相談所の体制整備(虐待を受けた子どもの保護、自立支援、虐待を行った保護者への対応など、)、人材の確保(拡充)について、いったい何人の児童福祉司の配置が望ましいと考えていらっしゃるのか?(あと何人児童福祉司が必要か?)また、児童相談所が虐待防止の中枢であることは変わらないわけですけれども、今度の法改正で虐待通告先(相談窓口)が市町村ということがあって、本市の場合は各区の支援課で行うと思うのですが、児童福祉司の配置をすべきだと思いますけれども、見解をお聞きしたいと思います。政令市の中でも、川崎市、横浜市は専管組織を設けているということを聞いていますが、本市の場合も専門職を配置した専管組織を設置すべきではないかというふうに考えているのですが、この必要性の認識についてもお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。 答弁(小林福祉部長) 児童虐待防止についてのご質問のうち、1.要保護児童対策について及び、3.児童福祉司の配置についてお答えいたします。区虐待防止ネットワーク会議についてですが、本年3月のネットワーク会議設置後、これまでに各区とも2回開催し、事例研究、情報の共有化など、関係機関の共通認識の向上と連携強化を図っております。市のネットワーク会議においては、各所管の役割を理解し、有機的な連携を図るため、現在、虐待対応マニュアルの作成に取り組んでおり、庁内関係部署の職員による検討会でも素案をとりまとめ、1月に開催する全体会議において協議していく予定としております。今後は、このマニュアルを標準として、関係者が児童虐待に対する対応、及びその防止に共通認識を持つことにより、区虐待防止ネットワーク会議の機能強化が図れるものと考えております。 次に、要保護児童対策地域協議会の設置についてですが、虐待防止ネットワーク会議から移行することが現実的な方法でありますので、現行のネットワーク会議と同様、市と区による2層構造により組織し、中核機関はそれぞれ、子育て支援課、各区の支援課が担当することになるものと考えております。 次に、家庭児童相談室の相談体制についてですが、本市では、家庭児童相談室を各区支援課内に配置し、課職員と非常勤の家庭児童相談員により、午前9時から午後5時まで相談を受け付けております。職員の常勤化や児童福祉司の配置は、現時点では困難と考えておりますが、今後、児童相談の件数や内容などの推移を見ながら、家庭児童相談室の充実対応策について検討してまいりたいと考えております。 続きまして、3.児童福祉司の配置についてお答えします。はじめに、48時間以内の対応についてですが、現在、県の児童相談所事務処理要領の中に規定されているものを準用しておりますが、市の児童相談所といたしましても、市児童相談所事務処理要領に改めて明記してまいります。 次に、虐待防止対策に当たる専門職員について、法改正をどのようにとらえているか、また、何人の児童福祉司の配置が望ましいと考えているかについてですが、合併する岩槻市分も含め、国が示す地方交付税算定基礎人員を生かすよう配慮していきたいと考えております。また、今後の児童福祉司の配置については、国の動向や他の政令市の状況を見ながら、専門職の登用について、担当部局と協議してまいりたいと考えております。 次に、区支援課へ児童福祉司を配置すべきとのご質問についてですが、17年度から区支援課に児童福祉司を配置することはむずかしいことと考えておりますが、今回の法改正により、児童相談のあり方が変わることから、区支援課職員等が児童相談に適切に対応する必要があります。そのため、本年11月より、児童相談所による現場実習、同行訪問、研修等の各支援課に対する技術支援を開始し、区支援課職員の資質の向上を図っております。 次に、専門職を配置した専管組織を配置することについてですが、虐待相談件数が急増する中、児童相談所をはじめとする児童虐待に関する関係機関をとりまとめることは重要でありますので、担当部局と協議してまいりたいと存じます。 答弁(駒井保健部長) 2.の保健師の増員について、児童虐待防止についてのうち、保健部所管の保健師にかかる事項についてお答えいたします。さいたま市の児童虐待発生予防対策は、保健師の実施する地域保健活動の中でも、最重要課題と認識して取り組んでいるところでございます。このため、保健師の研修についても、国立保健医療科学院等が主催する児童虐待防止研修や、児童虐待予防セミナーに派遣しているほか、庁内でも、事例検討会や研修会を開催しております。 次に、育児支援のための訪問活動についてですが、育児不安が最も強いと言われる新生児期、乳幼児期の家庭訪問、虐待を予防するための訪問指導等を平成15年度には延べ約7,000件、本年度上半期9月まで、約4,300件実施しております。健診未受診者への対応といたしましても、1歳6ヵ月健診を受けていない子どもの状況把握等、必要に応じた健康指導を実施しております。今後も、新生児、乳幼児に焦点をあて、母親の心のケアを含めた家庭訪問活動を充実強化してまいりますとともに、厚生労働省の調査により、虐待死亡事例の約4割が乳児であることなどから、4ヵ月健診の未受診者への対応も開始していくこととしております。 3.の保健師の配置状況ですが、保健所、各区役所、保健センター等に現在128人の保健師が在籍しております。今後とも、保健事業の効率化を図るとともに、行政としても、必要なところで必要な保健サービスが提供できるよう、保健師の配置に努めてまいります。 (そえのひと言) この質問を作るのにあたり、参議院の厚生労働委員会での質疑のやりとりビデオをダウンロードして聴きました。(時期が早いためかまだ議事録としてはホームページ上では活字化されていなかった)そこでは、厚労省の答弁者が、児童虐待への対応は、子どもの命、人権を守る最後の砦であり、国をあげて取り組む、児童福祉法施行令の児童福祉司の配置基準の改正も検討すると言ってました。また、自治体の首長の姿勢次第だとも言ってました。児童福祉司の配置が充分な県は、虐待の数も少ない、不充分な県は虐待の数も多い、というのもこの委員会で明らかにされてました。国では来年度から、自治体の本庁において、虐待対応現場への後方支援にあたる要員を配置する場合は、交付税措置(その分のお金が国からくる)を行う予定とも聞いています。現在の児童福祉司の配置基準は、児童福祉法施行令では人口10万~13万人に1人とされています。全国の児童相談所所長アンケートでは、5万人に1人にしてもらいたいという声が一番多かったそうです。国の総務省、財務省は、配置基準の一律化では地方分権の流れに反するとして消極的。地方交付税積算基礎に、児童福祉司1人あたりの管轄人口を設け、増員する場合には交付税額をふやすというやり方をとっています。2004年度の交付税基準は6.8万人です。これには強制力はありません。自治体ごとで格差が生じています。急増する児童虐待に対して、児童福祉司の半数が消耗感を感じ、燃え尽き症候群に陥る児童福祉司も多いそうです。本市の児童相談所でも、同様な状況があるかもしれません。さいたま市では、児童福祉司の交付税を基準通りに人の配置に向けなかったのですから、(基準通りに配置すると15人だが、実際は12人で3人下回る)これからは充分な対応を望みたいと思います。児童虐待防止・児童福祉は、「人」・職員の数と質で決まってきます。