■2007年12月定例議会 一般質問(12月11日)
質問項目
1.女性、子どもの人権保障について配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(DV法)の第二次改正を受けて
(1)DV防止および被害者の保護のための施策に関する基本計画
(2)配偶者暴力相談支援センター
(3)自立支援
(4)子どもへの十分なケア・サポート
(5)民間団体への支援と連携
(6)男女共同参画基本計画の改訂
2.障害者の生活ホーム入居者の住所の問題
質問(そえの)
1.女性、子どもの人権保障についてうかがいます。来年1月11日から改正DV法が施行されます。昨年の警察庁の統計では、配偶者間における殺人、傷害、暴行の被害者の93%が女性であるという数字が出ています。(06年警察庁男女共同参画白書)本市では2割ですが、全国的には女性の約3割がDV被害を経験、3日に1人、妻が夫から殺されているという日本の現実があります。(06年117名)人権保障を進める自治体の責任として、法改正を契機にしてより積極的な施策を進め、誰もが安全に安心して暮らせるまちにしていかなければならないと考えます。さいたま市が取り組むべき課題とやれる施策は何か?について、以下、項目に沿って質問いたします。
(1)DV防止および被害者の保護のための施策の実施に関する基本計画についてうかがいます。基本計画策定が「できる」規定から「努力義務」となりました。どのように努力したかが問われる規定であります。地方分権推進の趣旨からも各自治体の主体性に任せるので努力義務としたというのが、内閣府の見解であります。政令市であるさいたま市においては、積極的姿勢を示すべきであると考えますが、基本計画策定についての見解をうかがいます。
(2)配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)について、DVセンターも、基本計画策定と同様の趣旨で、努力義務規定となりました。政令市では必置義務規定とすべきとの意見が、DV防止に関わる団体や研究者などから強く出されております。DVセンターが少なく、緊急時における安全確保の体制が充分に取りきれていない現状からも、法改正を積極的に受け止め、設置に向けて取り組むべきです。今後の設置の方向性について、どうか?お聞かせください。
(3)自立支援について、平成18年に内閣府が行なった都道府県・政令市の取り組み状況調査によりますと、法定以外に独自に緊急一時保護を実施している政令市は、15市中13市で、本市は残念ながら、独自策は実施しておりません。本市の場合、被害者の公営住宅の優先入居や保証人への損失補てん、関係機関との協議会などは行なっていますが、他政令市が行っている医療関係者への周知や、外国籍、障害のある被害者への支援策が講じられていません。(外国籍の被害者に対応した外国語による資料の配布、障害に対応した点字や音声資料配布など)。もっときめ細やかなDV被害者への対応が望まれます。公設の一時保護は2週間であり、被害者と子どもの生活再建と自立に向けての中間施設、ステップハウスなどの施設支援がどうしても必要です。被害当事者への支援の基本原則は同行支援であることも、充分に考慮されなければなりません。生活保護や母子寡婦福祉資金の貸付など国の制度による以外にも、独自の生活資金の貸付(相手から離れて生活するのに必要なお金がないと回答が54.9%、76%が月収入15万円未満という現実)や就業支援、精神的なケアサポートなど、被害者の実態にあった支援策を講ずる姿勢が行政には望まれます。今後の自立支援施策として、どのような内容を考えているのか?お聞かせください。
(4)子どもへの充分なケア・サポートについて、DV被害の当事者には子どもも含まれます。子ども同伴で避難する場合が殆どで、DV被害者の9割が子どもがいるとの調査結果が出ております。(平成18年10月25日~11月27日内閣府「配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査」調査回答者799人)DVは児童虐待でもあります。子どもの95%が親のDVを目撃しています。(02年厚生労働科学研究調査)被害当事者の約半数が子どもの就学や保育所のことで困難に直面し、子どもへのカウンセリングや、保育所の入所への配慮や(離婚前でも片親の収入で保育料を計算してほしい、休職中でも入所させてほしい)、避難中の子どもの健康診断、予防注射を受けられるようにしてほしい、などなど、切実な声が全国調査で出ておりました。子どもが受けた被害に対する、充分なケア・サポートについて、その現状と改善すべき課題は何か?お聞かせください。
(5)民間支援団体への支援と連携について、さいたま市の民間支援としては、民間シェルターへの年額20万円の家賃補助が唯一です。支援策としてこれで充分と言えるのか、はなはだ疑問であります。従来、婦人相談員や民間女性シェルターなどのNGOがやむにやまれぬ思いから援助活動を行なってきました。民間支援団体は、公設公営のセンターが行なっていない、生活保護申請や家庭裁判所への調停、年金の受給手続きや、学校、保育園、学童保育などの手続き、病院での治療などでも同行支援を行なってきています。DVについて無理解な公的機関の対応によってさらに傷つく二次被害の問題が言われていますが、民間団体は、被害者の身になって尽力しているものの、いかんせんボランティアで、行動できる範囲が限られ財政的にも苦しい中での活動であります。公がやりきれない支援を行ない、そのノウハウを蓄積してきている民間団体の現状をふまえ、支援と連携を可能な限り行なって、公と民との協働をこの分野でも推進するべきではないかと考えますが、今後の支援のあり方、充実策についてどうか?うかがいます。
(6)男女共同参画基本計画の改訂について、男女共同参画に関する市民意識調査の報告書が今年1月に公表されました。昨年12月には、平成18年度男女共同参画年次報告書が出ています。今年5月には「次期さいたま市男女共同参画基本計画について」の諮問が男女共同参画推進協議会に出され、本年度末に答申、来年度には素案作成、パブコメ、基本計画策定というスケジュールだそうです。男女共同参画の基本は、人権尊重であります。現行の基本計画でも、DV被害については、女性に対する暴力のないまちづくりとして、相談・支援体制の整備、充実がかかげられています。先に述べた支援施策のような、具体的に実効性ある充実策を望むものですが、改訂に当たっての取り組み姿勢とお考えをお聞かせください。
男女共同参画、女性・子どもの人権保障、DV防止は、すべての市民に関係する課題であり、全庁あげて取り組むべき課題であります。担当の男女共生推進課にとどまらず、福祉部局、病院、学校、住宅、地域コミュニティ関係部局など、行政機構の縦割り対応でない、横断的で有機的な対応を行なわなければ、DVの防止はやりきれません。DV防止の基本計画や、男女共同参画基本計画改定にあたっては、関係部局の連携、調整による体制整備をより確実に実効性があがる形にしていただきたいと思いますが、見解はどうか?うかがいます。
2.障害者の生活ホーム入居者の住所の問題について、生活ホームが障害者自立支援法のもとで、グループホームに準ずるという規定により、施設入所の居住地特例の適用となっていますが、このことにより、市内の生活ホームに入居する障害者の生活に不利益が生じています。具体的には、住民票がさいたま市であるにもかかわらず、市の福祉制度がほとんど利用できない、また、身分証明書代わりでもある障害者手帳に記載されている住所も、さいたま市でなく、生活ホーム入居以前の出身市町村のままであるとされ、手帳の住所書き換えができません。そのため、手帳の更新や医療費減免の申請や手続きなどが、身近な区役所では受け付けてもらえず、以前住んでいた役所まで時間をかけて行かなければなりません。生活ホームは、障害者の地域での自立生活と社会参加を支える制度です。住民票も移し、選挙もさいたま市内で投票し、一生懸命働いて税金を納められるようになりたいと思っている障害者にとっては、さいたま市民ではないかのような、非常に納得できない扱いであります。施設入所者への居住地特例の制度が、国の制度で、施設が多い自治体の費用負担への対応としてできたという背景は理解できるものの、あくまでもそれは、行政にとっての理由でありまして、障害当事者にとっては非合理的で、不利益を強いられる扱いではないのでしょうか。もっと言えば、自分の権利が認められていないと言えるのではないかと思います。こうした現状の問題について、市はどのように認識しているのか?また、障害当事者のこうむる不利益や非合理的扱いの改善、障害者の人権保障についてどのような対応をとっていくのか?お聞きします。
そえのメモ:自立支援医療や舗装具の交付・修理、日常生活用具の給付・貸与、リフト付自動車の貸し出し、生活サポート、手話通訳者・要約筆記奉仕員の派遣などが利用できない。利用できるのは、心身障害者福祉手当、緊急通報システム、訪問理容サービス、福祉タクシー利用料の助成、自動車燃料費の助成、難病見舞金・手術見舞金
答弁(市民局長)
女性、子どもの人権保障について-配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(DV法)の第2次改正を受けてについてお答えいたします。最初に質問(1)DV防止および被害者の保護のための施策の実施に関する基本計画につきましてお答えいたします。本年7月のDV防止法改正により、基本計画の策定や、市町村の適切の施設において、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすことが市町村の努力義務となり市町村の一層の取り組みが求められておりますので、基本計画の策定につきましては、今後、国から示される基本方針に即し、検討してまいります。また、質問(2)の配偶者暴力相談支援センターにつきましては、現在ある、さいたま市男女共同参画推進センターにその機能を有している部分もありますが、施設の安全体制、自立支援に向けた連携体制など新たな課題も多いことから、法の趣旨や国の基本方針を踏まえ、女性の人権を守り尊重する観点にたち、適切な施設のあり方を検討してまいりたいと考えております。
次に(3)自立支援についてお答えいたします。自立支援につきましては、経済的自立に関すること、住宅の確保に関することなど、本市の福祉事務所をはじめ各所で様々な支援策を講じておりますが、今後とも関係機関で組織する連携会議等を通じ、横断的な連携を強化する中で被害者の立場にたったきめ細かな支援に努めてまいります。さらに医療機関への周知や障害者、外国籍の被害者に対する対応策についても研究してまいります。
次に(5)民間団体への支援と連携についてお答えいたします。本市では、平成16年度から民間シェルターを運営する団体につきまして、建築や事務所といった家賃に対する補助金の交付といった財政的支援を行っております。配偶者から暴力防止及び被害者の保護については、民間団体も大きな役割を担っておりますので、市としても民間団体がその力を十分発揮できるよう、今後ともさらなる支援と連携に努めてまいります。
次に、質問(6)男女共同参画基本計画の改正についての改定についてお答えいたします。基本方針である「さいたま市男女共同参画まちづくりプラン」の改定作業につきましては、本年5月、市長より「さいたま市男女共同参画推進協議会」に対し次期基本計画はいかにあるべきかについて諮門を行い、今年度末を目途として答申をいただくこととしております。現在、答申の審議中ではありますが、協議会ではDV防止に対して高い関心が寄せられております。今後の協議結果による答申を踏まえ、DV防止対策について次期基本計画に反映していきたいと考えております。
答弁(保健福祉局長)
1.女性、子どもの人権保障について(4)子どもへの十分なケア・サポートについてお答えいたします。議員ご指摘のとおり、DV家庭の多くは、精神面の他経済面や健康面など様々な問題をかかえております。このため本市では、DV被害を受けている保護者の生活実態を十分に把握し保育所入所の申し込みに際し増しては生活の状況に応じて一人家庭と同様な取り扱いとしておりますほか、保育料につきましてもDV被害を受けている保護者の生活実態を算定をし、負担の軽減を図っているところでございます。避難中の子どもの乳幼児検診や、定期予防接種につきましては、それぞれの事情に応じて保険センターをはじめ各機関と連携を図りながら本市で実施できるよう配慮をしているところでございます。また、DV家庭の子どもは、心に深い傷を受けていることが多く、その対応のためには、専門家による心理的ケアが必要とされています。このため児童相談所では通所による、支援・指導を行っておりますほか、保護施設に入所中の子どもに対しましては、訪問によるケアを実施しているところでございます。児童の安全確保を図るために、状況によっては一時保護の方法をとることもございます。DV家庭の子どもへのケア・サポートにつきましては早い段階からの対応と、支援する職員の資質の向上が必要とされますので、今後、関係機関との情報交換をさらに密にし、支援をしてまいりますとともに、関係する職員に、専門研修を受講させるなど、支援体制の充実を図ってまいります。
2.障害者の生活ホーム入居者の住所の問題についてお答えいたします。生活ホーム事業は自立した生活を望みながらも家庭環境、住宅事情等の理由でそれができない身体障害者及び知的障害者に住まいの場を提供するものでございます。国の制度には、知的障害者と精神障害者をグループホーム、ケアホームがありますが、生活ホームは埼玉県内独自の事業であり、身体と知的障害者を対象にして県が示した統一基準により、県内各自治体がそれぞれ入居者への援護を行っております。そして、県内の取り決めでは、施設所在地の費用負担が過大とならないように、利用者の出身自治体が援護の実施者になるという居住地特例を採用しております。本市の市民が他市の生活ホームに入居している場合には、その方の福祉サービスの援護は出身自治体である本市が行ってまいりますので、市外の方がさいたま市内の生活ホームに入居した場合には出身自治体がサービスを行うことになるのは、制度上やむを得ないものと考えております。その一方で使途いたしましては、当市内の生活ホームに入居している市外の方でも、市内において出身自治体によるサービスを利用できますが、サービスの手続きのために出身自治体に行かなければならないことや、心身障害者の支給が本市では現物給付でございますが、出身自治体に申請をして償還を受けることになると、サービスの利用に不便が生じていることも認識しているところでございます。しかしながら、居住地特例は、福祉における他の入所施設にも同様に適応されており、その扱いも同様でございます。また、生活ホームは先ほども申し上げたように、県内の他の自治体と統一した取り組みを行っておりますため、本市のみで解決できる問題ではありません。このため、市といたしましては、今後これらの対応にかかる県や他の市町村との協議の場の設定を働きかけてまいりたいと考えております。
再質問(そえの)
民間支援団体への支援と連携では、さらなる支援というご答弁でしたが、家賃補助以外にも支援を行なうことを検討されているのでしょうか?
再質問答弁(市民局長)
(5)民間団体への支援と連携についての中で、家賃補助以外に検討しているのかについて、お答えいたします。家賃を含めまして、今後検討してまいります。
■2007年12月定例議会 建設水道常任委員会 議案外質問と答弁(12月13日)
質問項目
1.街なかに水辺をふやす
質問(そえの)
12月に入ってからですけれども、さいたま市下水道長期計画の素案がホームページ上で出ておりまして、パブリック・コメントにかけられておりました。下水道というのは、私たちの生活の中から出された水をきれいに処理して川に戻して、そしてまた大雨のときには浸水被害が起こらないようにするということで、非常に大事な仕事なのですが、水洗トイレも今では当たり前になりましたけれども、こういった下水道がなければ水洗トイレもできないと思います。そういう意味では、汚染された排水がそのまま川に流されれば、私たちの飲み水として回り回ってくるわけですが、それをきちんと下水道で処理しているということで、非常に大事な仕事だろうと思います。そうしたところで、下水道は単に処理すればよいということではなくて、やはり水循環という考え方に当然立って仕事されているのだと思います。
その視点に立ってお伺いしたいのですが、私たちが住んでいる市街地は緑もどんどん少なくなってきている、あるいは昔からあった川がふたをかけられて遊歩道になったり、あるいは大雨のときにはんらんして床上浸水とかいろいろ被害が出て下水道の幹線になっていたり、そういう形で川の姿がほとんど街なかでは見られなくなってしまっていると。例えば雨水の排水路にしても、ふたがかけられていない形では、げたというのでしょうか、それがかけられ、フェンスで囲われていて、川というにはほど遠い形です。そういう街なかにももっと水辺をふやしていくべきではないかと私自身は考えているのですけれども、例えば六辻の水辺公園とかがありますけれども、人工的に下が下水で上をせせらぎのような、そういう工法もあるでしょうけれども、財政的な問題など諸条件を考えると、現状の政策的な判断としてはそういったところにお金をかけられないとか、いろいろあるとは思うのです。ただ、そういう中でも例えば下水の排水路のフェンスのできるところに植栽を置くとか、そういう努力をしていただきたいのですが、もっと根本的なところで下水道という視点から見て、町なかに水辺をふやしていくためにはどういったことが下水道の役割としては考えられるのだろうか。
長期計画の素案が出ておりまして、その中にも浸水対策で雨水流出抑制対策というところで、浸透性のますとか、あるいは透水性の舗装とか、浸透性の側溝とか、またそういう本当の自然の循環をつくり出していくということは取り上げられているのですけれども、長期計画素案も含めまして、水辺をふやしていくということにつながる施策としては、どういうことが下水道として考えられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
答弁(下水道部長)
街なかに水辺を増やしていくことについてお答えいたします。近年の下水道事業を取り巻く社会情勢でございますが、少子高齢化による人口動向や地震の頻発、また気候の変化への対応、エネルギー問題、地球温暖化対策など下水道の役割も多種多様化しております。そうした状況のもとで、平成18年度から今後の下水道のあり方について長期的な視点に立った基本的な考え方を示す、さいたま市下水道長期計画の策定を現在進めております。御質問の町なかに水辺を増やしていくことについては、長期計画素案において基本方針の一つである環境と調和した循環型社会を形成しますとしまして、雨水などの下水道資源を有効利用、活用した新たな水循環の創出に向けまして、循環型社会の形成に取り組むこととしております。施策としましては、浸水対策の中での貯留浸透の推進や水資源の活用としまして、ためた雨水の有効利用、また今、下水処理センターから放流されています放流水が自己水源として本市の芝川に流れているのですが、その芝川の貴重な水源として供給の場になっているということも示しております。現在、下水道として取り組んでいる水循環に関する事業は、さいたま新都心における貯留施設の雨水をせせらぎ水路、また公園の修景用水として有効利用している部分がございます。また、湧水等の水資源を創出するためには、個人の宅地内の浸透ますの設置など大勢の市民の方々の協力や、また道路や公園、学校など他事業の連携による浸透事業の継続とともに、浸透可能区域、また浸透施設の維持管理などに関する調査や研究が必要になってくると思います。下水道における雨水利用の検討に当たりましては、市民が安心して安全に暮らすための治水、これは水が出ないようにする治水と、雨水の活用としての利水、これは修景施設とかこれが町なかの水路に持っていけるかということの利水をどのように共存させるかも、今、国をはじめとして下水道事業者の大きな課題となっているところでございます。こうしたことから、水辺の創出や水循環に関する下水道事業は、長期的な展望のもとに引き続き研究していく必要があると考えております。