■2008年9月定例議会 まちづくり常任委員会 議案外質問と答弁(9月16日) 質問項目 1.まちづくりのルールと手法、行政の支援のあり方 (1)住民発意のまちづくり (2)行政の支援体制 2.都市計画マスタープラン(さいたま2005まちプラン)の改訂 (1)土地利用方針 (2)市民と行政の協働の推進 質問(そえの)  1点目の住民発意のまちづくりについてですけれども、この質問に関しては、昨年の9月定例会でも一般質問で取り上げましたし、決算とか予算の委員会等でもお聞きしているところなのですが、なかなか住民発意のまちづくりというのが進んでいかない現況があると。例えば、浦和区の都心地域においては、中高層というか、何よりも高層マンションですね、高層マンション問題が本当にずっと続いていて、現在でも、例えば常盤8丁目で3,000平方メートルのところに15階建てのマンションが建てられるとか、あるいは北浦和1丁目のところでも、やはり14階建てがまた建てられるとか、今まで非常に良好な街並みと言われていたところに、そういった高層マンション建設問題というのが持ち上がっていて、そのたびに問題、課題になるのが、地区計画があれば、一定程度住民のお互いの合意の中で、その辺、住みいいまちづくりのところで、階高などについても、あるいは緑の生け垣といったところも含めて、お互いの約束としてまちづくりができるのじゃないかという、そういうことが必ず持ち上がるのですね。 それが、ただ、今の時点ではなかなか遅々として進んでいかない現況があるのじゃないかということで、またお伺いするのですけれども、地区計画制度と建築協定制度、それからまちづくり協定という、これは任意のルールですけれども、これがどこまで生かされているのか。また、対応すべき課題というのは、当然行政の担当でしたら、非常に切実にそこら辺は感じたり認識されたりしていると思うので、そういう対応すべき課題と、それから今現在どのように取り組まれているのか、そして、今後どういう形で、その辺について対応していかれるのか。それをお聞かせいただきたいのと、それから、2点目の行政の支援体制ということで出したのですけれども、なかなか住民側からすると、行政の窓口というのは敷居が高いところがあるのですね。例えばマンション問題が起こったら、建築指導課のほうに行ったり、そこでまた、地区計画制度があるよみたいな形で、まちづくり総務課ですか、そちらのほうに行ったり、都市計画課のほうに行ったりとか、幾つもそういう形で行政の窓口のドアをたたくのですが、そういったところで行政側の支援体制はどうなっているのか、現況を改めてお聞きしたいと思います。 答弁(都市計画部長) まちづくりルールと手法、行政の支援のあり方について、1点目の住民発意のまちづくりについてお答えいたします。まちづくりにかかわる制度としては、地区計画、建築協定、まちづくり協定などがあり、地区の状況に合わせて、地区の皆様がまちづくりの目的に沿った制度や内容の検討を行い、住民発意によるまちづくりを進めております。各制度の特徴についてですが、既に御案内のとおり、地区計画は都市計画法に基づいた制度で、地区の特性に応じたきめ細かなまちづくりルールを定めることが可能ですが、一般的に、合意形成と法手続に時間を要するものです。建築協定は建築基準法に基づいた制度であり、住民の合意によってルールを定め、お互いに守り合っていくものですが、協定の更新時に合意形成が困難となるケースが見られます。まちづくり協定につきましては、法律に基づかない制度として、地区の住民が自由にルールを定め、地元組織などにより実質的に運営されるものです。なお、まちづくり協定に関する条例について言及しますと、条例を定めている神戸市などの事例を見ますと、まちづくりへの市民参加や市民と行政の協働を目的としており、まちづくり機運の醸成には資するものの、建築等の行為に対しては、届け出や協議などを義務づけるにとどまっております。こうしたことを踏まえて、さいたま市では、まちづくりルールを定めるに際して、財産権にかかわる私権の制限を伴う場合もあることから、地区住民の合意形成が各制度を活用するための課題と考えており、各制度のそれぞれの特徴を生かし、地区の目指すまちづくりの目的に沿った制度の活用ができるよう支援を継続しております。また、現在、市内で地区計画は48地区の都市計画決定、建築協定は18地区の協定締結、まちづくり協定につきましては、把握している限りでは1地区なされており、住民合意のもとに、地区ごとのルールにのっとり、まちづくりが進められております。市では、今後も住民発意のまちづくりに向け、地区計画の手引書を作成するなど、各制度の啓発活動を推進してまいります。 次に、2点目の行政の支援体制についてお答えいたします。住民発意のまちづくりでは、地区や団体ごとにまちづくりの熟度が異なっており、それぞれに必要としている支援の内容やレベルがさまざまであります。そこで、さいたま市では、スタートラインとなるまちづくりの支援制度の所管窓口である、まちづくり総務課において、さまざまなまちづくりの相談に一元的に対応したうえで、それぞれのケースに応じ必要な支援を行っております。一般的なまちづくり制度の知識や進め方のノウハウなどが必要な場合には、専門家派遣制度の活用を進めております。一方、地区計画などの手続については、それぞれの所管窓口の専門的な助言を通して、精通した職員による適切な支援を行っております。今後、関係所管課と連携を一層密にするとともに、パンフレットの発行に加え、広報誌やホームページなどを通して、さらに広く市民にPRを行いながら、住民主体のまちづくりに対して積極的に取り組んでまいります。 質問(そえの) 具体的にお聞きしたいのですけれども、例えば地区計画48地区ということですが、そこの中で、住民発意による地区計画ですね、これが幾つかあると思うのですが、それがどれくらい進んでいるのか。例えば年に1回ぐらいなのか、どういう状況なのかなと思うのですけれども。住民発意で行った場合、1年、2年かかるのは当たり前みたいなところがあると思うのですね。都市計画決定まで至るというのはなかなか難しいところが、当然住民の側のエネルギーもありますし、それから専門的な知識というものが、行政の支援はありつつも、住民たちもそこで勉強していかなくちゃいけないというところ。それから、いわゆる地区のまとまりですね。そういったところの幾つもそういうハードルを抱えながら、なおかつ時間がかかると。だから、そういう意味では、結果的に進めると言っても、なかなか遅々として進んでいかない現実があるのだと思うのです。具体的に、住民発意の地区計画、どれだけ進んでいるのかどうかということと、一般的に言ってどれくらいの時間がかかるものなのか。それと、任意のまちづくり協定なのですが、1地区というお話ありましたけれども、この点について、具体的なところでお聞かせいただきたいのですが、任意ですので、当然いわゆる制度的な縛りみたいなところはないのですが、どういったメニューでまちづくり協定が行われているのか。このまちづくり協定がなかなか進んでいかないというのは、任意であるということと、それからその協定を結ぶことによって、どれだけ住民側にメリットがあるのかということが、はっきりまだ認識がなかなかされにくいところがあるのじゃないかなと思うのですが、この点について、まちづくり協定をどう今後進めていくのかどうか。あるいは、かなりハードルがというか課題が高くて難しい、困難な状況であるのかどうか、その辺の認識についてお聞かせいただきたいと思います。 答弁(都市計画部長) 地区計画の48地区の状況ということですけれども、それぞれ状況が異なっておりまして、一概にその48地区がまとまってどうということはなかなかちょっと言いにくいところがあります。そういうことで、全体をどういう動きをしているかというのは、なかなかお答えしにくい部分がございます。それから次に、まちづくり協定を締結している地区の具体的というようなお話がありましたけれども、具体的には、これはさいたま市のやつしま地区というところで行われております。内容は、申し合わせということで、環境、施設の整備、例えばさくの構造の制限とか、そういうものを定めたり、それから、建築物やその敷地などへの制限、それから建物の高さまたは面積、日照の確保、そういうものについて申し合わせとして定めていると伺っております。それから、全体的にまちづくりの中で、こういう協定がどうしてもなかなか進まないということですけれども、先ほどもちょっとお答えしましたが、財産権にかかわる私権の制限というところがやはり一番大きいのかなというところがあります。やはり地区の中でのそれぞれ皆様の考え方が違うという中で、これをまとめて一本化していくからには相当な時間を要しているという現状でございます。 質問(そえの) 先ほどお聞きしたのは、住民発意による地区計画制度で、どれくらい一般的に時間がかかっているのかということでお願いしたいのですが。 答弁(都市計画課長) これも、住民発意の地区計画の策定に要する時間ということは、やはり一概には言えないと思っております。今までの実績を見ましても、例えば住民合意にどれぐらい時間がかかるということが、一番の要素でございまして、それが比較的早ければ、当然早くいく。 ただ、法手続に要する時間は大体半年ぐらい、例えば説明会から、16条の縦覧、17条の縦覧、都市計画審議会等を経ますので、半年は最低かかります。ただ、そこに至るまで、現在4地区、検討、協議している地区がございます。住民発意の地区計画をかけたいということで、先ほどのやつしま地区も入りますけれども、それについては、合意がどこで折り合えるか、先ほど部長の答弁にございましたように、私権の制限につながる、例えば土地利用ですね、今できるものをもっと制限するわけですから、高さについても、壁面の位置の制限等についても、建物の用途についても、まちづくり協定もメニュー的には地区計画に似たような内容を定めます。ただ、それが地区計画ですと、建築確認のときに強制力がある。まちづくり協定ですと、任意ですから強制力がないという違いでございますが、そのどちらについても、やはり合意形成をいかに図るかと。かなり厳しくなれば、当然反対の方がいらっしゃいますので、なかなか時間がかかります。ある程度、例えば既存の不適格の権利を認めていこうということになれば、合意もできるということでございますので、地区によって事情は異なっているということで御理解いただければと思います。 質問(そえの) 私的財産権というところが一つのハードルになっているというのは、よくわかるわけですし、行政側の、そういう意味で、非常にその辺で苦労されているというのはよくわかるのですが、例えば、戸田市でまちづくり推進条例ができて、そこで地区のまちづくり協定で、建築行為等に関するものについては、市の認定を条件に、建築行為等を行う事業者に対し市との事前協議を義務づけているみたいな、そういう部分も盛り込まれているということも聞いたのですが、こういうやり方については、例えば建築と、それからまちづくりのルールというところでの兼ね合わせとしては、どう考えますでしょうか。 答弁(都市計画部長) 地区計画で何らかの決めごと、ルールを守るということですけれども、今、戸田の話が出ましたけれども、当然物を建てるに当たって、法にのっとった基準で物が建つと。ところが、近隣の方からすれば、よろしくないなということからトラブルが起きているという現状があります。それらをなくすということで、先ほど私のほうからお答えしている幾つかの手法があって、そういうものをベースにすればよろしいでしょうが、時間がかかるというところが現状です。具体にそういう問題が出たときには、中高層に関する条例の中で、市があっせんといいますか、仲介といいますか、そういう紛争について調整するような仕組みが一応組み込まれている。それから、今後、開発行為に伴う紛争についても、市が何らかの仲介なりしていくというようなことも、今後やらなくてはいけないと考えております。 質問(そえの) 次に移ります。2点目として、都市計画マスタープランの改定についてということで、1点目が土地利用方針について伺いますが、さいたま2005まちプランですね、これの改訂が2000何年でしたっけ……5年後ですから、平成22年ですか、改訂が目指されているということですけれども、この改訂について、特に分野別のところで土地利用方針がありますが、どういう方向性でこの改訂に臨むのかどうかお聞きしたいのと、2点目が、市民と行政の協働の推進ということで、さいたま・まちプラン市民会議が設定されて、かなり活発に議論がされているとお聞きしますし、それから、ホームページ等でも議事録がアップされていたりで、状況的には一定程度わかるのですが、そことのさいたま・まちプラン市民会議の状況も含めて、都市計画マスタープランの改訂に当たってお聞かせいただきたいと思います。 答弁(都市計画部長) 都市計画マスタープラン、さいたま2005まちプランの改定について、まず1点目、土地利用方針についてお答えいたします。都市計画マスタープラン、通称さいたま2005まちプランは本市の都市計画に関する基本的な方針として、平成17年12月に、幅広い市民参加のもとで策定を行いました。この都市計画マスタープランの見直しに当たりましては、急激な社会、経済情勢の変化に対応することや、現在埼玉県が進めている整備、開発及び保存の方針の見直し及び国による都市計画制度の見直しなどへの整合を図る必要がございます。また、現行の都市計画マスタープランの進行状況を踏まえつつ、市民の皆様などからの意見反映などを行い、総合的かつ計画的にその方向性を見極め、適切な時期に見直しを行っていくことを考えております。今後のまちづくりにおきましては、人口減少、少子高齢化社会の到来、地球温暖化対策などの本市を取り巻く社会情勢の変化に対応し、安心安全で快適な持続可能な都市を構築していくこと、さらに市街地の無秩序な拡大を抑制し、既成市街地における都市機能の適正な立地を進めるとともに、中心市街地への都市機能の集積、中心市街地のにぎわいづくりなどにより、コンパクトなまちづくりへの転換を図ることなどが課題としてとらえられております。委員御指摘の土地利用のあり方につきましては、土地利用動向や開発動向、建築の動向等を把握するため、都市計画基礎調査などを定期的に実施しております。そうしたデータからは、例えば平成17年から平成19年の新築の建築件数について見ますと、平成18年度をピークに、住宅、集合住宅、商業、工業など、すべての分野が鈍化傾向にあること、また、市街化区域における住宅、集合住宅の新築動向も、特定の地域に限らず、全域において分布されていることなどがうかがえます。このようなデータの分析等を踏まえ、市街化調整区域も含めて、今後の土地利用のあり方の基本的な方向を検討し、都市計画マスタープランの改定に反映させていきたいと考えております。 次に、市民と行政の協働の推進についてお答えをします。都市計画マスタープランに掲げております市民と企業、行政によるまちづくりを推進するため、平成18年度に、市民と行政の協働によるさいたま・まちプラン市民会議が発足しました。市民会議の活動としては、平成18年度から平成19年度にかけ、緑のまちづくり、景観のまちづくり、安心安全のまちづくりなどの各テーマに沿って、市民の側からの実現可能な方策について、8回にわたり検討を重ね、レポートとして取りまとめを行っております。また、平成20年度につきましては、区ごとの特性に応じた課題の抽出と、それに対する市民の側からの取り組みの検討を行っているところです。今後はこれらの活動の成果として、都市計画マスタープランの改訂に合わせ提言を行う準備が進められていると伺っております。都市計画マスタープランの見直しに当たりましては、さまざまな市民参加のもと検討を進めていく必要があることから、このさいたま・まちプラン市民会議からの提言につきましても、貴重な市民意見の一つとして参考にしていきたいと考えております。 質問(そえの) 平成22年に、先ほど御答弁ありましたさいたま都市計画区域の整備、開発及び保全の方針、これが県で策定されるということで、それとの関連性が当然出てくるわけですけれども、都市マスを考えるときに、やはり一番基本的なところというのは、用途地域のことなのではないかなと思うのですね。都市計画法が改正されて、用途地域もかなり細かくなったりとかありますが、現在の商業地域からすべてひっくるめた形、12でしたっけ、そこら辺の用途地域の問題というのは、例えばさいたま市において、どれだけ自由裁量度というのがあるのかどうか、お答えしにくいのかなとは思うのですけれども、その点についてお聞かせいただければと思います。 答弁(都市計画部長) 市が行う都市計画に関する、特に用途について、県の整備、開発及び保全の方針、これが一つの基準としてあるということ。それとの整合が図れないまま、市が突出していくということはなかなか難しいのかなと考えております。ただ、市としても、土地利用の状況を細かく調査、検討して、市の意見として、変える必要があるということであれば、それは県との調整は当然していく必要があると考えております。ですから、なかなかこれは難しいところがございまして、市が独創的にも走れないという中で、市としての考え方をある程度示しながら調整していくことが今後も必要であると考えております。 質問(そえの) 先ほどの1点目の質問でもそうですけれども、土地というのは、そういう意味では財産でありまして、それを行政側がどれだけ制度、制約、縛りをかけ、あるいは誘導していくのかというところについては、難しい面があるというのは非常によくわかっているわけですけれども、今の部長の答弁ですと、やはりボトムアップ方式というか、そういう形で市の姿勢を形成していくのかなと私としては受けとめたのですが、そういう意味では、本当に良好なまちづくりということで、これからもできる限りというか、でき得る限り可能性について追求していただければと思います。