■2007年2月定例議会 無所属の会代表質問 1.市民と行政の協働の推進 (1)「新しい公共空間」創出―協働の仕組みづくり (2)情報公開と説明責任の推進 (3)自治基本条例に向けて 2.行財政運営 (1)政策主導の財政運営―「選択と集中」のあり方 (2)健全財政維持プラン (3)自主財源の確保・拡充 (4)基金 3.安心・安全なまちづくりに向けて (1)障害者の社会参加の推進 (2)子どもを虐待から守る (3)食の安全 (4)良好な住環境づくり 4.「農」(アグリカルチャー)の振興 5.緑地の保全・活用 6.フリースクールへの支援 質問(そえの) 1.市民と行政の協働の推進について、(1)「新しい公共空間」創出―協働の仕組みづくりについて、今議会に提出されている市民活動及び協働の推進条例は、市民と行政の協働をさいたま市において確実に進めていく上で、画期的な出発となるととらえております。指針策定にあたっての市民活動推進委員会での活発な議論や、(仮称)市民活動サポートセンター整備検討委員会でのワークショップを重ねた整備基本計画など、市民と行政との協働の実践を経て行なわれている。こうした経験の蓄積が多くの市民にも生かされていくことを望んでいおります。新しい公共空間をどのように作っていくのかは、ひとえに市民・事業者・行政との関係性がどれだけ有効に、公平性・公正性・透明性をもって作られていくかにかかっていると考えます。行政に求められているのは、新しい公共について、いかに市民に理解してもらい、参加してもらえるかの仕組みづくりだと思います。 そこで、うかがいますが、現在の市の事業全体で、協働の仕組みづくりはどこまで進んでいるととらえているのでしょうか?また、協働の事業について、全庁的な取り組みを進めるには、モデル事業も意義があるが、それぞれの部署で立体的総体的に取り組めるような事業の整理・精査を行ない、横断的な体制を作る必要があると考えますが、見解をうかがいます。新しい公共、という概念では、公共サービスの提供を行政だけが担うのでなく、市民の力をもって地域や社会を支えるとされています。市民には当然、非営利の市民団体のほかにも、事業者も含まれる。営利活動と公共性の担保が押さえられなければならないと考えます。事業者が、行政との協働に参画するにあたっては、地域貢献、社会貢献を行なう企業市民として位置づけ、事業者の持つ力、能力を公共空間形成に活かしていく必要があると考えますが、新しい公共空間を創るなかで、事業者に対する認識はどのようにとらえているのか?うかがいます。 (2)情報公開と説明責任の推進について、市長は前々から情報公開と説明責任の推進について、その姿勢を打ち出しているし、ぜひとも徹底して進めていただきたいと思っています。マニュフェストでも、市民と行政が共に事業の企画・立案を行なうことを大胆に進めることが市長のこれからの行政手法のポイントであるとし、そのためには行政の透明性を高めることが次の仕事であると、市長の3つの基本理念の一つとして掲げています。公平性・公正性・透明性の確保は、市民との協働にとって欠かせない原則であります。外郭団体の情報公開や、市のホームページ上での要綱の公開も進んでいますが、まだ改善の余地があります。新年度では、行政情報検索システムの構築として文書目録データのホームページでの公開が予算化されていますが、政策形成過程の情報の公開も含め、今後どのように情報公開と説明責任の推進に取り組むのか?お聞きします。 (3)自治基本条例に向けてについて、度々議会で取り上げられ、無所属の会でも主張している自治基本条例ですが、自治体の基本的なあり方を定め、行政執行における最も基礎的な基準を規定する自治体の憲法ともいえる条例は、地方自治の理念や原則、住民の権利と義務、行政や議会の責務、自体運営方法などを規定し、市民全体で共有化できることが望ましいわけです。三重県や四日市市などでは議会主導で自治基本条例を制定しています。すべての市民がまちへの愛着を持ち、自分たちのまちを自分たちでつくっていくという、市民の意思を条例に現すのですから、行政も議会も市民も、自治基本条例を創り出す努力、土壌形成を行なって行くべきだと考えます。自治基本条例の制定については、市長のマニュフェスト工程表にも掲げられていますが、行政としては今後、どのような見通しをもって取り組むのか、お聞きします。 答弁 添野議員の無所属の会を代表しての御質問のうち、1.市民と行政の協働の推進について、(1)「新しい公共空間」創出-協働のしくみづくりについてお答えします。はじめに協働のしくみづくりについてですが、昨年10月に策定いたしました指針をもとに、今議会に「さいたま市市民活動及び協働の推進条例」を提案しております。条例においては、市市民活動及び協働を推進するための基本原則や、市が実施する基本的施策などを定めるとともに、市民活動推進委員を設置して、推進に必要な施策を実施してまいります。次に、事務事業を精査・整理して協働を進めることについてですが、これまでも行政の各分野において市民との協働事業を行ってまいりましたが、さらに協働事業を充実させていくためには、職員研修やシンポジウムの開催などを通して職員の理解を深めることが重要であります。このため平成19年度予算において提案しております「市民提案型協働モデル事業」をかつようしながら職員の意識の向上を図り、市民と行政の協働をより一層推進してまいりたいと考えております。 次に、「新しい公共」における事業者の役割についてですが、今後の地方自治を考える上では、行政だけではなく、地域社会を構成する多様な市民が公共の担い手としてまちづくりに参加することが重要であり、事業者においても地域を構成する一員として市民や行政と連携して自発的に市民活動に参加、協力することを期待しております。 次に、1市民と行政に協働の推進についてのうち(2)情報公開と説明者の推進に関する御質問について、お答えします。情報公開瀬尾度は理想都市実現に向けた本市の重要政策の一つである「市民の皆様との協働」を推進する上で必要なものであり、市政を透明にするためには不可欠なものであります。政策過程の情報公開につきましては、市の基本的な政策等の策定にあたり、形成過程の情報を公表し、市民の皆様からのご意見を反映させる、パブリックコメントの実施や、市民満足度を高め、簡素で効率的な市政運営を確率するための行政評価の結果等についてホームページに掲載するとともに、各区役所の情報公開コーナーの据え置き、市民の利用に供しているところでございます。また、政策の意思形成過程の情報を提供するため、審議会の会議開催の周知や会議録の公開にも努めております。更に、新年度には市民が市のホームページを利用することにより、用意に勝つ迅速に市が保有している文書件名の検索ができる行政情報検索システムを運用するなど、今後ともさまざま媒体や手法を活用し積極敵に市政に関する情報を公開し、説明責任を果たしてまいりたいと考えております。 (3)自治基本条例に向けて、自治基本条例制定に向けて、にお答えします。本市の市民参加の取り組みにつきましては、組合振興計画に「市民と行政の協働」を都市づくりの基本理念として掲げ、これまでも、区民会議、パブリック・コメント、市民活動サポートセンターの整備など、協働に向けた具体的な取り組みを積極的に進めてまいりました。一方、自治基本条例については、今年度、他の政令市などの制定状況、制定された条例の内容など他市に関する調査や現行法令、市民参加の進捗状況など、さいたま市における課題の整理を行っているとことでございます。今後は、こうした個々の課題・整理検討を進め、条例の効果や意義・必要性などについて、さらに研究を進めてまいりたいとかんがえております。 質問(そえの) 2.行財政運営について、(1)政策主導の財政運営―「選択と集中」のあり方、昨年2月に行政改革推進プランが策定されました。自主財源の確保と徹底した事務事業の見直し等により、行財政改革を進めるとともに、「選択と集中」による事業の重点化を図るとしています。平成19年度予算編成では、いままでとってきたシーリング方式を改め、「新たな予算編成システム」の一部導入とあります。(平成17年度においては1561事務事業の評価が行なわれている。18年度における事務事業評価と、政策評価との連携はどのようになされたのか?)都市経営戦略会議における、政策評価にもとづく重要政策事業を決定し、66事業があがっております。これら66事業の事業決定における判断と決定が、どのように議論され、決定されていったのかは明らかにされておりません。(マニュフェスト、基本構想・実施計画ローリングによるものなのか、各局からの積み上げ方式と消去方式か、重要政策事業としての総枠予算からの配分として66事業が出されたのか?)「選択と集中」のあり方として、その基準は何か?またそれはどのように示されるのか?うかがいます。 (2)健全財政維持プランについて、昨年4月に策定された健全財政維持プランについて、進捗状況と行政改革面での効果は何か?お示しください。また、健全財政維持プランで示された課題の遂行については、19年度予算執行では、全体の予算の成果として、億円が示されているが、それぞれどのように取り組まれるのか?お聞かせください。 (3)自主財源の確保・拡充について、自主財源確保のため、未利用市有地の売却も方策としてあげられています。塩漬けの土地の有効活用という点で、この方針も一つの方法であることに異論はないが、土地の売却による高層マンション建設問題などの紛争が生じる可能性や、後々のまちづくりにおいて、土地が必要になる場合もあります。市街地の住民にとっては、公園や緑地へのニーズ、願望が非常に強いものがあります。市有地は市民すべての財産であり、行政財産、普通財産という行政執行上の分類分けで取扱いを処理する前に市民から託されている財産であることをふまえるべきであります。売却に際しては、さまざまな側面から検討を加え、数字合わせで土地を処分することなく、政策的観点をもって慎重に判断すべきではないかと考えます。未利用市有地の売却に際して、どのような基準をもって土地の選定を行なっているのでしょうか?お聞かせください都市経営的観点から、土地資源の利用計画を立てて、市としての有効活用、たとえば公園化、売却でなく貸し付けなどをはかるべきではないかと考えますが、見解をうかがいます。 (4)基金について、プランによりますと、全基金の残高は政令市平均よりも低いとあります。財政調整基金、減債基金、特定目的基金、それぞれ目的は異なりますが、一般的に言うと、積立金が多ければ多いほど財政的には安心できるのだと思います。さいたま市の場合、政令市平均に比べて、特定目的基金の金額は少ない状況です。退職手当については、基金によってまかなわないと再三答弁がなされています。退職手当基金としてわずかな金額がそのまま計上されていますが、扱いが不明瞭なままです。退職手当の扱いについて、どのような判断を持っているのでしょうか?今後の退職手当の支出についても、従来どおりの方法で臨むのかどうか?お聞かせください。公園整備の基金の創設について、無所属の会では要望してきていますが、新たな基金の創設についての考えをお聞きします。市の財政運営上、適正な基金積立て額や財政規模に比しての割合について、目標や基準を定めているのでしょうか?基金設定に関しての見解をうかがいます。 答弁 2.行財政運営について(1)政策主導の財政運営-「選択と集中」のあり方について、お答えいたします。平成19年度の予算編成におきましては、平成20年度の予算編成から「事務事業評価・政策評価に基づく新予算編成システム」を導入することを前提に、あらたな試みとして「都市経営戦略会議」におきまして、「予算編成に係る集中審議」を行いマニフェスト行動計画事業の実績評価及び総合振興計画実施計画事業の進捗状況等を踏まえ、新たな政策課題を加えて、重要政策事業都市経営戦略会議を決定したものです。事業の選定に当たりましては、マニフェストの着実な実施に重点を置くなど政策重視の市政で臨むとともに、政策と予算、さらには人事・組織が一体となった取組が推進できるよう、政策局総務局及び財政局が密かに連携して選定を進めたところです。その上、「都市経営戦略会議」において集中的な審議を経て重要政策事業を決定するとともに、これらの事業に予算を重点配分したところであります。 次に、2.行財政運営について(2)健全財政維持プランについて、お答えします。このプランの進行状況ですが、平成19年度の予算編成におきましては、単年度で約105億円、また、平成18年度からの累計額では約298億円の行政改革効果を見込んだところでございます。これにより「中期財政収支見通し」でお示しいたしました。2ヵ年の財源不足額役367億円を上回る行政改革効果となったところでございます。今後とも、「行政改革推進プラン」の着実な実行に取り組み、更に既存事務事業の見通し、新たな財源確保など効率的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。 次に(3)自主財源の確保・拡充について、お答えします。「さいたま市行政改革プラン」の中で、将来的に活用が見込まれてないふつう財産の未利用市有地については、公売等で、18年度から22年度の5カ年で約13億円の売払いを実施し財源確保することとしています。未利用私有地の売却については、平成14年から庁内に設置した公有地有効利活用推進委員会の中で未利用市有地の把握を行うとともに、全庁的に事業用地としての有効活用方策を検討しており、長年保有し事業計画のない土地については、この委員会の中で公売の決定をしているところですが、今後とも未利用市有地については貸付の方策を含めて有効活用を心掛けて行きたいと思います。 次に、2.行財政運営について(4)基金について、お答えします。初めに、いわゆる「団塊の世代」の大量退職に伴う退職金手当につきましては、平成22年度にそのピークを迎える見込みとなっております。退職手当の増額に伴う「職員退職手当基金」への積立てでございますが、現時点では、「行政改革プラン」をはじめ、徹底した行財政改革で対応すべきと考えており、基金への積立ては予定しておりません。次に、公園整備等の特定の事業目的に対応するための新たな基金の創設につきましては、基金を造成する財政需要が見込まれた段階で、他の財源手当等を勘案しつつ、検討してまいりたいと考えております。また、基金の目標額、積立て基準の考え方でございますが、特定基金の積立てにつきましては、想定事業費における一般財源所用見込額を、また、財政調整基金、減債基金につきましては、長期的な財政運営を勘案しながら、積立てを行っているところでございます。 質問(そえの) 3.安心・安全なまちづくりに向けて、(1)障害者の社会参加の推進について、昨年12月、国連で障害者の権利条約が採択されました。今後、国での批准が行なわれ、条約の発効となります。国際的にも障害者の社会参加、ノーマライゼーションの理念の具現化がより確実に進められようとしており、障害者が地域で安心して自立生活をおくれるような、積極的な施策展開が求められています。全国の障害者団体の反対にも関わらず、初めに財政ありきで介護保険との統合を見すえて全面施行された障害者の自立支援法は、全国の自治体で独自の軽減措置が講じられ、本市でも今年1月から独自の激変緩和策が実施されてきています。国でも法施行後わずか2ヵ月で負担軽減策を講じています。こうした動きを見ると、法律が不備であることは明らかで、見直しへの取り組みが要請されていると考えます。さいたま市が八都県市首脳会議において、法の見直しに向けて提言を行い、本市のリーダーシップを発揮していこうとしていることに、大変期待しています。八都県市におけるさいたま市のリーダーシップが説得力を持つためにも、本市の障害者福祉施策が他の八都県市の先進事例になるよう、積極的な展開を望んでおります。障害者の社会参加推進での就労支援、生活支援についてお聞きいたします。市では今年4月の障害者総合支援センターの開設や、全区における生活支援センター整備が行なわれますが、就労や離職防止の実をあげていくための体制づくりでは、全庁的、また関係各機関、団体、さらに市民の理解が欠かせません。平成19年度以降、就労支援、生活支援をどのように行なっていくのか?うかがいます。 (2)子どもを虐待から守るについて、子どもをめぐる痛ましい事件の報道は、後を絶ちませんが、伸びやかに育っていける子育て支援に力を入れている本市では、絶対に起きることのないよう、願っております。虐待防止対策として、児童福祉法や児童虐待防止法の改正もあり、人的な体制を整えることや窓口での適切かつ迅速な対応に努力されていると思います。以下、3点についてお聞きします。1.市内各区における対応・支援体制は、配置職員の専門性の確保も含め、万全に機能しているでしょうか?2.24時間虐待通告相談や、48時間以内の安全確認対応は、子どもの命に直結するものですが、こうした対応において、現状での課題と平成19年度の取り組みについてはどうか?3.子どもが地域で見守られ、虐待への懸念、信号を見過ごさずに対応できる地域コミュニテイの醸成と、児童相談所と関係機関との十分な連携体制をどれだけ機能させていけるかが、虐待防止につながるのだと思います。要保護児童対策地域協議会は、ネットワークとしてどこまで機能しているのか?また、子どもをめぐる問題の典型である虐待について、本庁と各区、児童相談所における、問題や課題をどのように効果的に共有と対処を行なっているのか?うかがいます。 (3)食の安全について、食の安全基本方針が策定されて2年が経過しました。食品衛生監視指導計画や食の安全委員会など、市民の食に対する不安を払拭し、健康で安全な食生活をおくれるように行政施策が各種事業で取り組まれていると思います。食の方針では、行政の食品の安全性確保のための監視、指導、検査体制強化、事業者の衛生管理と表示の適正化、地産地消の推進、食育の推進が掲げられています。これらの取り組みを、より実効性あるものとして進めていくために、計画的な進行管理が必要ではないでしょうか。行政、事業者、消費者それぞれがその役割に応じて、食の安全確保に向けて努力することをより明確にすべきであることからも、実施計画策定が望まれますが、見解をうかがいます。 (4)良好な住環境づくりについて、空き地の環境保全に関する条例がありますが、この条例が規定しているのは、空き地の雑草、害虫の発生等で、指導、勧告、命令することができるとあります。何十年も放置されている空き家・樹木などは、近隣の居住環境や防犯上の問題が懸念されても、行政がはっきりした対処をとれないということに疑問を持っております。空き地の環境保全に関する条例は、空き地の雑草と害虫のみが明文化されているので、空き家や樹木の繁茂で良好な生活環境を阻害していても、行政の対応としては法的根拠があいまいになっており、職員の努力による、あくまでも「お願い」対応でしかの域を出ていません。空き地に空き家、樹木も加え、適用範囲を拡大し、現実の問題に適切に対応するよう条例の見直しが必要ではないかと考えます。また、昨年4月に施行された「防犯のまちづくり推進条例」では、土地建物所有者等の責務として、自らの必要な防犯措置を講ずることを定め、防犯のまちづくりへの必要な措置を講ずることへの努力義務、市の施策への協力の努力義務を定めていますが、空地条例のような、市の対応(指導、勧告、命令)規定は定められてはいません。良好な住生活環境のために、環境保全・衛生面、防犯面からの対応策を示していただきたいが、どうか?見解をうかがいます。 答弁 3.安心・安全なまちづくりについて」の(1)障害者の社会参加の推進についてお答えいたします。障害者の就労支援と生活支援をどのように進めていくか、についてですが、障害者の就労支援を行うには、雇用の場の確保、雇用後の離職防止などが考えられます。そのため市といたしましては、平成19年4月に開設する障害者総合支援センターを拠点として、市の職員や民間事業等の経験ある雇用創出コーディネーターが事業を訪問し、障害者理解と雇用の場の拡大に努めてまいりますほか、事業所にジョブコーチを派遣し、実習や各種助言を行い、雇用の促進や離職防止を図ってまいります。また、事業所障害者施設、養護学校、本人や家族等により構成する障害者職業能力開発推進会議において、障害に応じた職種の拡大や職場環境作りなどについて意見交換を行い障害者の就労促進を図ってまいります。次に、生活支援についてですが、障害がある人たちが地域で自立した生活をするためには関係機関が連携・協働して、人間関係や身辺の介助など日々の困りごとから就労や医療の場の確保など、一人ひとりの状況に応じた継続的な支援が不可欠なものと考えております。このため、平成20年度までに各区に整備を予定している障害者総合支援センターが中心となり、障害者と家族の身近な相談の窓口として面接や家庭訪問などにより、そのニーズや家庭状況を把握し、様々な生活面のアドバイスを行ってまいります。また区の支援課や医療機関、障害者施設、ハローワークなどの関係者とのサービス調整会議において日常生活の困りごと解決や福祉サービスの利用、自立に向けた援助などについての支援計画を策定し、それぞれの機関が連携した、適切な福祉サービスの提供を行い、障害者がちいきで充実した生活を送ることができるよう努めてまいります。 次に、(2)子供を虐待から守るについてお答えいたします。まず、各区の対応及び支援体制ですが、本市では区の支援課を身近な相談窓口として位置づけ虐待相談に対応するほか、必要に応じた家庭訪問や見守りを行っております。また、相談体制の充実を図るため、児童相談所や新任職員研修や専門研修などを実施し、職員の育成や相談技術の向上に取り組んでいるところでございます。24時間児童虐待通告相談につきましては、平成17年から開始しておりますが、埼玉県も同様の事業を昨年から開始しましたので、市民の方には通告先をより明確にPRし、直ちに適正な体制に結びつくよう努めてまいります。虐待通告から48時間以内の安全確保につきましては、本市では、平成15年の児童相談所開設時から導入しており早期対応に大きな成果を挙げておりますので、さらに徹底してまいります。 次に要保護児童対策地域協議会についてですが、本市では、昨年6月に福祉、医療、教育、司法、など児童虐待防止に関わる機関により協議会を立ち上げ、情報の共有化や連携の強化を図るとともに、総合的な虐待の防止策の検討を行っております。この協議会には市全体を統括する「代表者会議」と各区に「区会議」を設置しておりますほか、「事例検証」を設置し、重篤な事例などの検証を行っております。また、各区の区会議は、民生・児童委員や警察、小・中学校長などの代表者で構成し、その下に「実務者会議」、「ケース検討会議」を設置し発生ケースの情報の共有化や処遇の点検を行い、民生・児童委員による見守り活動などに結びつけております。 次に、本庁と各区での問題や課題の共有ですが、本庁では区会議からの報告を受けますほか、区支援課会議や家庭児童相談会議などに出席し、問題や課題についての共有をはかっております。今後におきましても、区の支援体制の充実や協議会の機能を十二分に活かすとともに、各種の虐待防止策を積極的に推進し、児童虐待のない社会づくりに取り組んでまいります。 次に(3)食の安全についてお答えします。本市では、市民が安心して食生活を遅れるよう、生産・製造から流通・消費にいたる総合的な食の安全確保を図る基本的なかんがえ方とその施策の方向を定めた「さいたま市食の安全基本方針」を平成17年3月に策定しました。この方針に基づき、「食品衛生監視指導」の実施、「食の安全委員会」、「農薬等適正使用に関する研修会」などを開催しておりますが、今後これらの食の安全に関する様々な事業を体系化し、より実効性を高めていく必要があると考えております。このため、平成19年度中に各種事業を総合的かつ計画的に実施するために「食の安全実施計画」を策定することとしています。実施計画策定にあたりましては、庁内関係各課が連携を図るとともに生産・製造から流通・消費など関連する各分野の方々で構成される「食の安全委員会」をはじめ各界各層並びに市民からの幅広いご意見を反映させ、具体的で実効性の高い計画となるよう努めてまいります。 (4)良好な住環境づくりについて、空き地の環境保全、衛生面の対応策でございますが「さいたま市空き地の環境保全に関する条例」に基づき、雑草が繁茂し害虫が発生するなど、近隣への良好な生活環境に影響を及ぼしている空き地の環境保全を図るため、土地所有者等に適正な管理を指導しております。対応につきましては、各区役所で土地所有者等に対し文書による指導を行い、その指導に従わない場合、環境管理事務所において訪問による指導及び勧告、命令文書による行政指導を行っております。また空き地・空き家の防犯対策につきましては、「さいたま市防犯のまちづくり推進条例」の理念に基づき、市民・警察等と相互に連携を図り自主的な地域防犯活動の啓発を進め、土地建物所有者等の協力を得ながら「犯罪の起こりにくい地域環境づくり」を進めてまいります。議員、ご指摘の「さいたま市空き地の環境保全に関する条例」に樹木や空き地を加えることにつきましては、目的が異なることから一概に加えることは難しいと思われますが、今後、他市の条例等を参考にしながら、研究をしてまいりたいと考えております。 質問(そえの) 4.「農」(アグリカルチャー)の振興について、さいたま市農業振興ビジョンでは、農を多面的にとらえ、市民との協働に力点を置いておりまして、都市近郊農業の存続基盤づくりの面からも評価しています。農業の担い手が減少する中で、農地の減少を食い止め、農地利用率を高め、新たな農業への希望を作り出すためには、農業をめぐる外的環境の活性化と、市民の「農」への理解と期待を得て参加を進めて行く必要があります。市民との協働の推進が、「農」においても求められています。農地の有効利用を進めるために、市民農園など市民が「農」に参加しやすいシステムが必要ですが、その一つとしての情報発信については、どのように取り組んでいるのか、お聞きします。「農」の担い手育成は、ランドコーディネータープロジェクトとして展開されていると思いますが、地産地消や、環境教育・食農教育とも連携した取り組みを行なっていただきたい。また、定年後に「農」に親しみたいと望んでいる団塊世代の市民への受け皿としても、このプロジェクトを活かす時期ではないでしょうか。どのような見通しをもってプロジェクトを進行させるのか?うかがいます。 答弁 4.「農」の振興について、市民の「農」の理解と「農」の担い手による農業振興でございますが、本市農業が都市農業でございますが、本市農業が都市農業であることから、産業としての農業のみならず、市民が食育・地産地消・景観等を含めた幅広い「農」として捉えることが必要と考えており、さいたま市農業振興ビジョンでは、農業生産振興・農地の保全確保・農コミュニティの創造の3つの施策を軸としております。具体的な施策としては、市民の「農」の理解に向け、「さいたま市農場情報ガイドブック」を作成し、配布すると共に、幅広い市民ニーズに対応するため「農」を楽しむ事から、「農」を体験する各種農業イベントを実施しております。また、新たな取り組みとして、援農ボランティア事業に並びに、ランドコーディネーター事業を実施し本年2月には、農家と都市住民で構成する、さいたま市ランドコーディネーター協議会が発足し市内農産物の販売促進、農産物の生産支援、遊休農地の有効活用を目的とした活動を開始しており、本市といたしましても、農家と都市住民の協業体制支援を行うと共に、今後も幅広い市民の「農」の理解に向けた施策を実施してまいります。 質問(そえの) 5.緑地の保全・活用について、市街地の公園、緑地は大変少なく、一定程度の規模の空き地があるとすぐに高層マンションが建設され、周辺住民は手をこまねいてみざるをえないのが現状です。街中での緑へのニーズは大変大きいものがあります。緑の基本計画は岩槻を加えて改定が進められていると思いますが、(一人当たりの公園面積は、平成32年度には10㎡確保)、今後、どれだけ緑施策を活かす形で、計画を推進していくのか?うかがいます。みどりの条例で規定されている、自然緑地(1,000㎡26ヵ所、管理は市)、保存緑地(500㎡402ヵ所、管理は所有者)、環境緑地(5000㎡1ヵ所、管理は所有者)、都市緑地法での市民緑地(2ヵ所2300㎡)では、土地の所有者への助成制度の充実や市民の協力拡大を従来以上に取り組まなければ、保存・活用はままならず、貴重な緑がだんだんと喪失していきかねないと危惧しています。国への相続税の納税猶予等の要望や、税制上の支援や助成制度の拡充など、今後、どのように取り組むのか?うかがいます。市街地の緑の保全と活用について、市民が一人でもできる仕組み作りと人材の確保が進めば、緑のまちづくりの輪がより確実に拡がって行くのだと思います。地域コミュニティの協力の中で、緑のまちづくりに誰もが参加できる仕組みが必要ではないかと考えますが、今後の取り組みへの見解をうかがいます。 答弁 5.緑地の保全・活用について、緑の基本計画を、今後どのように推進して行くのかにつきましては、本計画推進にあたり長期的な視点に立っ各推進企画を段階的に進めて行く必要があり計画に位置づけられた4つの基本方針とそれに基づく63のみどりの推進施策それぞれについて短期・中期・長期にわたる具体的な取り組みを策定し関係部局の施策と連携を図りながら、計画的かつ効率的に事業を展開いてまいります。次に、国に対しての相続税の納税猶予の要望と緑地の所有者に対する税の支援策の拡大につきましては、本市における緑地の減少の要因のひとつとして、個人が所有する緑地を、相続の発生によりやむなく転用・売却する事により相続税を支払うという状況がございます。今後とも八都県市首脳会議等の場を通じ、土地所有者が緑地を持続的に保有できるように、国に対して相続税の軽減などの優遇措置を要望してまいります。 次に、市民が一人でも活動できるような仕組みにづくりと人材の確保についてでございますが、現在、本市では、地域緑化の指導者の養成を目的にした「花と緑のパイロット」事業など、緑のまちづくりの主役となる市民が、一人でも緑のまちづくりに参加できる事業を推進しているところでございます。個人でも参加できる場所のさらなる拡大や情報の提供に努めてその活動の輪を広げ一人でも多くの緑のまちづくりに参加していただきたいと考えております。また、市民の皆様には、緑に関する理解を深め、意識を高めていただくために、花や緑に関する講習会の開催や各種イベントを通じ情報提供などを行っており、このような機械を有効に活用して人材の確保にも努めてまいります。 質問(そえの) 6.フリースクールへの支援について、学校教育法が改正され、今年4月から施行されます。特別支援教育のあり方が変わります。児童生徒の教育ニーズに応ずること、学校と福祉、医療、労働等の関係機関との連携がこれまで以上に求められている状況に対応し、児童生徒等の個々のニーズに柔軟に対応し、適切な指導および支援を行なう、ことを趣旨とした改正であります。フリースクールへは不登校や、軽度発達障害の子どもたちが多く、通っています。彼らは教育、福祉、医療のはざまに置かれ、現在の学校教育制度の中で居場所がありません。どの子にもすべて、その子の適した教育環境が与えられるべきという考えに立つならば、フリースクールに通う子どもたちへの支援もまた、考えられてしかるべきではないでしょうか。そこで、うかがいますが、フリースクールに対する現状認識は?どのようにとらえているのでしょうか?また、不登校や軽度発達障害の児童生徒への教育のあり方として、フリースクール在籍生徒への支援の方法についてどのように考えているのでしょうか?お聞かせください。教育行政方針では、障害のある児童生徒への総合的な支援のあり方について、具体的な研究を進めていくとあります。フリースクールは障害のある子どもたちだけが通っているわけではありませんが、一人一人の教育的ニーズに応じた教育の観点から、フリースクールとの連携、交流、支援、制度的な位置づけも含めて研究していただきたいと考えますが、見解をうかがいます。 答弁 6.フリースクールへの支援について、フリースクールは、不登校の児童生徒を対象に学習支援や体験学習を通して学校復帰を目指す民間施設と認識しています。また、文部科学省の「不登校への対応の在り方」の通知により、さいたま市においても、一定の要件を満たす場合には、相談を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができる、としております。対人関係をめぐる問題や学力不振、軽度発達障害等に起因する不登校の児童生徒への支援についてでございますが、教育委員会といたしましては、学校復帰を前提にフリースクールも選択肢の一つとし、スクールカウンセラー等相談員による相談を行っております。民間施設はその性格、規模、活動内容が等がさまざまであり、教育委員会として一律な対応は難しいと考えております。しかし、「積極的に情報交換や連携に努めること」としておりますので、今後、研究してまいります。 <注記> 学校教育法の一部改正、平成19年4月1日施行、平成18年7月18日通知「児童生徒等の障害の重複化や多様化に伴い、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育の実施や、学校と福祉、医療、労働等の関係機関との連携がこれまで以上に求められているという状況に鑑み、児童生徒等の個々のニーズに柔軟に対応し、適切な指導及び支援を行なう観点から、複数の障害種別に対応した教育を実施することができる特別支援学校の制度を創設するとともに、小中学校等における特別支援教育を推進すること等により、障害のある児童生徒等の教育の一層の充実を図るもの」 ■2007年2月定例議会 議案外質問と答弁(2月19日) 1.防災対策 (1)自主防災 (2)防災訓練 (3)避難場所の拡充 質問(そえの) (1)自主防災について、南関東地域地震や東海地震など、いつ大地震が起こるか分からない中で、私たちは生活しています。誰も予想もしなかった阪神淡路大震災や中越地震などの記憶も、まだ生々しく残っています。仮にさいたま市で大地震の災害に見舞われたらどうするか?市民誰もが、そうした万が一の災害に備え、少しでも被害を少なくし、生命が助かるように、助け合いの心で災害時の危機管理に望まなければならないと思います。遠くの親戚よりも近くの他人という言葉がありますが、隣近所のお互い様の助け合いで、被害を減らすことができます。自主防災組織は、そのような趣旨で結成され、行政の自主防災組織への育成・支援事業も行なわれていますが、現況と課題は何か?防災倉庫については、設置場所について苦労されている地域も多々あるのではと思いますが、場所の確保についてはどのような支援を行なっているのか?うかがいます。 (2)防災訓練について、先ごろ、さいたま市震災対策図上訓練が行なわれたという新聞報道がありました。ロールプレイング方式による図上シュミレーション訓練で、震災想定のもとでのそれぞれの役割に応じた演習で、実際の危機管理対策における課題が明らかになったと思います。その課題は何か?お聞きします。また、この訓練は、行政内部の意思伝達と対応についてが主眼ではないかと思いますが、実際に大地震が発生した場合、家屋倒壊、火災の発生、ライフラインの切断という状況の中で、市民の生命をまず守り、被害の拡大を最小限にとどめることが求められると思います。いわゆる72時間以内での行政の対応が、その後の二次的被害の状況を決めると言われていることを踏まえ、混乱をいかに終止してその後の市民生活の安全を確保していくかが問われていると思います。そうした方策についても、図上シュミレーション訓練・ロールプレイング方式の訓練を行なってはどうかと考えますが、今後の訓練についてどのように行なっていくのか?お聞きします。そして、こうした訓練の成果を行政内部の対応だけでなく、市民にも伝えるような情報の発信が必要ではないかと思いますが、お考えをお聞きします。 (3)避難場所の拡充について、避難場所については、学校を中心とした公共施設246カ所を指定しているということですが、どれだけ収容が可能なのか?また、避難場所自体が耐震化が進んでいないという問題があります。昨年の6月議会の私の一般質問では、昭和56年以前に建築された公共施設の耐震化率は31%、そのうち防災拠点の耐震化率は14.8%との答弁がありました。避難場所となる施設の耐震化率はどうか?また、避難場所の拡充については今後、どのように取り組まれるのか、お聞かせください。 答弁(危機管理室長) 防災対策についてお答えいたします。1点目、自主防災の現況についてですが、自主防災組織は災害が発生した場合に地域住民が協力して初期活動に取り組むことで有効な対策をとることができますので、市では各種補助制度を設け、育成強化に努めております。2月1日現在で663組織が結成されております。支援策といたしましては、防災資機材の購入に対する補助、井戸の水質検査に対する補助、各自主防災組織の運営に対する補助、防災訓練に対する補助などを行っております。課題につきましては、10区、区によって組織率が高い区と低い区がありますので、低い区の組織率の向上にただいま努めているところでございます。 次に、防災倉庫の設置場所につきましては、各地域の御協力により、自治会館の敷地、団地のあいたスペース、個人の宅地、あるいは神社、墓地などの敷地の一部をお借りして設置している状況ですが、防災倉庫を設置する場所がほかに確保できない場合、一定の条件がございますが市の公園に設置することを許可しております。 2点目、防災訓練ですが、2月7日に消防庁舎で災害時の職員の意思決定能力並びに対応能力の向上を目的に震災対策図上訓練を実施いたしました。この訓練は、さいたま市直下を震源とするマグニチュード6.9の地震発生により市内全域で震度6弱を観測し、家屋の倒壊、火災の発生、ライフラインの寸断等を想定し、訓練方法は被害状況などのシナリオを職員には知らせないロールプレイング方式で行いました。今回の訓練は、市単独では初めての図上訓練でありますことから、発生から4時間半経過までの初動期に重点を置き、11部局27班177名が参加し、本市における防災体制の検証をいたしました。詳細な検証は現在作業中ですが、収集した情報をいかに共有するか、また市民への情報提供、マスコミへの対策など、さまざまな課題が抽出されましたので、今後地域防災計画の修正などに生かすとともに、訓練を継続的に実施し、災害に強いまちづくりに努めてまいります。御質問の市民への情報提供につきましては、今後、検討してまいります。また、今後の訓練につきましては、平成19年度において八都県市合同で図上訓練の実施に向け、検討しております。その中で、対応時間等について協議してまいりたいと思います。 次に3点目、避難場所についてですが、まず避難場所の収容力について御質問がございましたが、246か所の避難所で収容力は約20万人を想定しておりますので、14万7,000人の避難住民には対応できるものと思っております。次に避難場所の耐震化についてですが、本年度の防災拠点の耐震化率につきましては、現在調査中でございます。なお、教育委員会では平成18年度に体育館の耐震二次診断を小中学校合わせて12校で行っております。今後につきましても、関係部局と連携し、耐震化の取り組みを推進してまいります。次に避難場所の拡充についてですが、従来から学校、公民館等が新設された場合、随時避難場所として指定しておりまして、来年度開設予定の中央区の鈴谷公民館、南区の辻南小学校につきましても指定に向けて準備を進めております。