■2002年8月29日【さいたま市男女共同参画まちづくり条例に対して、友人たちに送った文章】 さいたま市男女共同参画推進協議会が、5月に出した男女共同参画基本条例への提言書が、バックラッシュの波にさらされているそうなのです。 さいたま市男女共同参画推進協議会(審議会)(会長は、矢澤澄子東京女子大教授)が「さいたま市における男女共同参画社会の実現を促進するための基本条例はいかにあるべきか」という諮問にこたえて、「提言」を答申して、いま、市民からの意見募集中です。締め切りは、8月31日(消印有効)。 「You&Me夢」という、さいたま市男女共同参画社会情報誌(8月初めに配布されています)に、この提言のダイジェストが載っています。女性も男性も、互いにその人権を尊重し、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮できるまちをつくる、という視点に貫かれたいい提言です。 「You&Me夢」を見てもらえればわかりますが、男女が平等であり、直接・間接を問わず性別による差別を受けることなく、個人としてその人権が尊重されるまち。女性に対する暴力やセクシャアル・ハラスメントがないまち。女だから男だからという性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度や慣行が見直され、互いに対等で多様な生き方が選択できるまち。~等々、積極的是正措置や、性別による権利侵害の禁止、苦情の申し出・処理規定、施策の年次報告規定など。 とにかく、条例が単にお題目でなく、実際にこのさいたま市で実効性が発揮できるよう考えられた提言内容になっています。この条例を根拠にして、さいたま市内の女性の状況を是正していくための活動ができます。協議会の委員構成も、23名の委員のうち7名が市民公募委員で、協議会の会議も公開で傍聴自由、提言の起草委員9名のうち、7名はこの市民委員がなっていて、文字通り、手作りで提言を作ったことがよくわかります。 ここまでできたのは、会長の矢澤澄子さんの力がすごく寄与していると思います。前に、私が市議(1991年~1999年)だったとき、当時、遅れていた浦和の女性政策が画期的に変わりました。浦和で初めて審議会に市民公募の委員を取り入れたのも、矢澤さんが会長をつとめていた女性政策推進協議会でした。 その協議会の提言に沿って、浦和市の女性行動計画「うらわ男女平等推進プラン」ができ(1995年)、市のあらゆる施策のなかに男女平等、男女の性別役割分担見直しの視点が入ったのです。 その象徴的なものとして、従来女性職員がやっていた(やらされていた)お茶汲みが見直され、廃止になりました。こうしたいままでの実績のもとで、今回のさいたま市の男女共同参画推進条例へのとりくみが、市の政策として違和感なく、とても評価される、市民と行政のパートナーシップの具体化として出てきていると思います。 それがですね。今回、問題になっているのは、こうした男女平等への流れを止めて、逆行させる動きが全国的にあるようで、さいたま市でも、性別役割分担見直しとんでもない、ジェンダーフリー教育とんでもない、「男らしさ女らしさを一方的に否定することなく男女の特性を認め合い、互いにその人格と役割を認める」(宇部市の男女共同参画推進条例)という主張と動きがあります。 こうしたバックラッシュともいうべき、男は仕事(外)、女は家事育児(内)の性別役割分担社会への逆行の主張と動きで、現在、協議会が答申した提言の内容が条例に生かされず、骨抜きにされる恐れが現実化しています。 埼玉大学の長谷川三千子教授という人が、産経新聞7月26日号「正論」に「怖るべき法規制の網ではないか男女共同参画社会基本法の正体」という文章を書いています。この方は、さいたま市の男女共同参画推進協議会の委員になっている方で、協議会でも、ジェンダーフリー教育阻止、人権という非常に奇妙なことば(?!)を使うのは問題、…等々の主張をされているそうです。 長谷川教授は、産経新聞の「正論」で、全国各地の住民が、稀代の悪法(?!男女共同参画社会基本法のこと)を食い止めるべき最後の防波堤を築くのだという自覚をもって、県や市町村に声を届けようとよびかけています。さいたま市議会でも、生方議員がジェンダーフリー教育を取り上げ、異論を唱えたそうです。 組織的かどうかしりませんが、こうした長谷川教授の主張に応じるような意見が、けっこう市の男女共生推進課に寄せられているようです。新しい歴史教科所をつくる会の動きとも呼応しているのかも。このまま黙っていては、男女平等、人権尊重に反するさいたま市の条例ができてしまうかもしれません。 それで、長くなりましたが、ぜひ、さいたま市男女共同参画推進協議会の提言を生かした条例を制定すべきという、市民の意見を8月31日までにさいたま市に寄せてほしいのです。 ▼参考HP 世界人権宣言(AT-FOX)国連憲章前文(AT-FOX)